弱さを語る力

弱さを語る力①

 私はカウンセラーという仕事をさせていただき、多くの人の話を聴かせていただいております。
 そこにくる人の様々な人間模様やその人の歴史、人生そのものが語られます。そういった中でこちらも色々と学ばせてもらうこともあります。
 カウンセリングに来られて「スッキリした」とか「気持ちが軽くなった」と感想をいってくださる方は間違いなく弱さを語っているのです。
 普段なかなか人に言えないようなことです。なぜ言えないかと言うと、「人に話すとバカにされたり否定されたりするのではないか?」と思っているからです。実際にそういう経験をお持ちの方もいらっしゃいます。
 カウンセリングではそこを聴きることが大切なのです。その人の傷ついている部分を暖かく包み込むような聴き方があいてを癒すのです。しかし、カウンセリング現場だけでなく、日常的に弱さを語ることは大切なようです。
次はそのあたりを詳しく書いて見ます。

弱さを語る力②

 私たちは弱さを見せたり、相手に悟られたりしないようにします。例えば嫌なことがあっても「大丈夫」と言ってみたり「気にしない」と言ってしまうことは誰にでも経験のあることでしょう。こうやって「強がる」ということをします。
 強がるというのは文字通り強いフリをするのですが、よくよく考えれば強がるということは、本来は弱いということでもあるのです。
 しかし、弱いところを見せるとそれだけで「.無能だ」とか「負け組だ」と思われるのではないか?と思ってしまいますが、それ自体が弱さでもあるのです。
 つまり、その弱さを「強がる」ということで表現しているのです。
 弱さは必ずなんらかの形で表現されているのです。

弱さを語る力③

 ①で弱さを語ることが日常的に大切と言っておきながら②ではその説明のために使いました。
弱さを語ることがなぜ大切なのか?
それは、弱さ語ることは本音を語ることになるからです。強がるというのは本音ではない、本当の自分を偽っているという見方もできます。強がる人ほど自分を認めておらず、強がれば強がるだけ本音から遠ざかってしまうのです。
強がる人ほど弱いのです。本音のところにある自分を認めたくない、認める力がないのです。逆に弱さを認めると強くなるのです。弱さを語ることができればそのぶん強くなれますし、さらに他人の弱さにも寛容になるのです。
人間は一人では生きていけない弱さをもともと持っています。弱くていいのです。

弱さを語る力④

 カウンセリングの現場は弱さを以下に語ってもらえるかが、カウンセラーの腕の見せ所です。大抵は「この人に話して大丈夫か?」と思って疑いながら始まるものです。確かに初対面の第三者に自分の内面をさらけ出すのですから、話す方も抵抗を感じてしまいます。
 しかし、私たちはカウンセリングの訓練を受ける中で短い時間であっても、弱さを語ってもらう信頼関係を築く術を身につけています。ですから、話しに来る人の心配をよそに、気がついたら「こんなに話してた」という具合にどんどん話をしたくなるのです。
 そしてとうとう弱さを話してくれます。そこまで来ると相手の問題はかなり軽くなっていたり、弱さを語りながら自分を客観的にとらえて次にどうして行けば良いのかを考え始めるのです。
 弱さを語れないうちは弱さに振り回されてしまいますが、弱さを語るとその弱さをとらえて、見つめ直すことができるのです。
 どうか良いカウンセラーに巡り会い、弱さを語れる相手にしてください。きちんとトレーニングを受けたカウンセラーら相手を決して否定しません。

弱さを語る力⑤

 弱さを語ることが自分を強める秘訣です。とは言っても、誰彼構わず話ができるわけではありません。それなりに信頼できる人にはなします。それでも、急にそんな話をすることはできません。そこで、人に語る前にまずは自分に語ってみてはいかがでしょうか?
私がやっている弱さを語る方法は紙に書くということです。紙に書いて行くことで、頭の中がかなり整理されます。さらに、文字で見直すことで客観的に自分の弱さを見ることができるのです。
紙に書くことができれば特に誰かに聞いてもらう必要はなくなります。しかし、どれだけ紙に書いても自分の弱さを語り尽くせない場合は、実際に人に聞いてもらい、そこで受容と励ましをもらう必要があります。自分だけで受け止めきれない弱さも人と一緒に受け止めればそれだけでかなりの改善でもありますし、その弱さを持っている自分を認め、許すことができます。
弱さを紙に書いてみることは、考えている以上に効果ありです。

弱さを語る力⑥

 弱さを語ることは自分を強めることになります。人に語らなくても、紙に書くだけでも整理されます。認知療法的に作用して弱さが外にでて来ます。
 実はこれは怒りにも使えます。結論から言うと怒りも弱さの一部なのです。「弱い」ということを自分で認められないので、それを自分以外の誰かのせいにしたり、物事のせいにして怒るのです。怒ることが決していけないわけではありません。怒りのエネルギーによってつき動かされて生きることだってできます。ただ怒り続けることは疲れますし、何よりコミュニケーションが難しくなります。いつも怒っている人とは一緒にいたくないのです。
 怒りがずっと自分の内側にあるなと思ったら、これも弱さなので紙にか書いて客観的に見てみてください。怒りの場合、何だかとても自分が幼く見えたり、可愛らしく見えたりして来ます。そこまで思えれば、もう、怒りはかなりなくなっています。
怒りは強さではなく、強がりなのです。弱さとして語ることで、怒りに支配された感情を自由にしていくことができます。

弱さを語る力⑦

 弱さを語り切るとどうなるか?
実は弱さを語り切ると、なんと希望を語り出すのです。不思議ですが、私が話を聴かせていただいても、初めはとんでもなく辛い状況にあり、ネガティブなことばかり言っていた人が、いつの間にかフッと前向きなことを語るのです。
 どうも希望を語るにはネガティブなものを全て吐き出す必要があるのでしょう。弱さを語ることは、希望を語るためのプロセスなのです。
 逆に弱さを語り切らずに希望を語ってもなかなか進めず、自分を口ばっかりだと責めてしまいます。恐れずに弱さを語り、吐き切って自分の希望を語り、前向きに歩んで行きましょう。

弱さを語る力⑧

弱さを語る力にとって最も大切なのは、弱さを認めることです。本音で自分の弱さを語ることで、希望を語るプロセスを歩みますが、自分が認めていないことは言葉にもなりませんし、仮に頭でわかっていても、これは言いたくないなという思いがあればそれは認めたことにはなりません。
 本気で自分を変えたいなら徹底的に自分と向き合い弱さを知り、受け入れる必要があります。
 自分が認めた弱さの分だけ強くなり、そしてその分道が開け、希望を歩むことができるのです。
 弱さを語ることから逃げ出したい、認めたくないこともたくさんあると思います。しかし、これが変わるきっかけです。できない自分を認めると、また違う自分になることができるのです。