定期的なカウンセリングが
変容をもたらす理由
カウンセリングはどれくらいの頻度で受けるとよいか?
カウンセリングの依頼を受けた時にされる質問の一つとして
「どれくらい受けたらよいでしょうか?」と尋ねられます。
私は2週間に1回くらいが良いペースだと思っています。そしていつもそう応えています。
これは二つ理由があります。一つは、カウンセリングはカウンセリングを受けている時間だけでなく、カウンセリングとカウンセリングの間(インターバルの時間)が大事だからです。ちょうどよい間があることで、その間に感じたことや考えたことが出てきます。時には「次はこのことを話そう」とおもう出来事が起きます。しかし、2週間経つうちにそのことがすっかり解決してしまうこともあります。こういう経験が自信をもたらします。
もう一つの理由は、前に話したことをなんとなく覚えているからです。話題が全く違っても、同じ人のカウンセリングです。必ずそこに共通点や共鳴していることがあるのです。それを見いだしていくと、その人がなぜ今のような課題に向き合わされ、解決に向けて取り組んでも今一つうまくいかないのかを知ることができるのです。
週に1回ずつという高い頻度でカウンセリングをするケースもあります。それは、クライエントさんの不安が強かったり、1回じゃ聴ききれないくらいの情報量があったりする場合はそうしますが、初めの2,3か月でこの頻度は落ち着てきます。
2週間の間(インターバル)の力
2週間の間には結構いろんな出来事があります。その中にはたわいもない日常があります。
私が提供するカウンセリングでは本人への気づきの促しを極力入れるようにしています。カウンセリングの際中に気づけた自分の特徴や、行動や言動のクセなどを日常生活で意識するようになります。そうすると、これまでと同じでような日々を過ごしていてもご自身の気づきによって行動に変化が起きてきます。
社員にイラついていた
社長さんの変化
あいつは仕事をしない
あいつはミスが多い
あいつは報告がデタラメだ!
このように社員に対する悪口から始まったカウンセリングでした。まずは、社員に対する愚痴をさんざん伺うわけです。社長さんの孤独がそこにはありました。そうやって始まったのですが、その後、少しずつ変化が見えてきました。社員さんに対して愚痴を言っていましたが、ある時のカウンセリングで高評価する話をされました。「よくやってくれている」と。それまでは、仕事を卒なくこなすことよりも、表情がくらい、とか、報告がない、とかミスを隠す、といったところばかりが強調されていました。確かにそういうトラブルは起きますが、実は多くの仕事はある程度、うまくいってくれていたのです。そこに目を向けられるようになりました。
そしてカウンセリングのインターバルで気づいた社員さんの良い面をたくさん話してくれるようになりました。この変化はとても大きいです。なぜならマイナス面しか見えていなかった目が、プラス面をとらえるようになったからです。するとある時その社長さんは「イライラしなくなったし、イライラしてもすぐに収まるようになった」と応えてくださるのです。これは私もうれしかったです。
カウンセリングの内容を覚えている強み
カウンセリングの内容を覚えていると何が起きるのか?
それはとっても不思議なことが怒ってきます。自分にとっての感情の法則が見えてきます。
日々の人間関係のトラブルには実はパターンがあるのです。見えやすいところで言うと、「目上の人が怖い」「男性が苦手」「声の大きい人の前では話せない」「変に優しい女性が嫌い」などです。これは生育歴が影響しています。
コミュニケーションのパターン、感情の表出のパターンを知ることができれば、アンガーマネジメントも感情コントロール極めて楽にできるようになります。自分を縛る古い考え方、価値観から解き放たれるのです。
ただ、これは表面だけを捕まえてもうまく来ません。1、2回のカウンセリングではできません。
丁寧なカウンセリングとそのカウンセリングに置ける共通点やパターンを一緒に見ていく必要があります。そして「前回はこんな話をしていた」というところからのストーリーが見えてくることで変化していくのです。
生きづらさから解放された女性
人前で自分の考えを言うことが非常に難しいと感じている女性がいました。周りに合わせていつもニコニコしているのです。そうやって多くの人と仲良くやってきました。気遣いのできる彼女は、いつもいろんな人のお世話をしていて、頼られる存在でした。
しかしある時そんな自分が嫌になってカウンセリングを受け始めました。
毎回のカウンセリングは予定時間を大幅に超え、時には二時間以上話をすることもありました。そんな中で彼女が言えなかったことが言葉にできるようになりました。それは
「両親への怒り」でした。毎回のカウンセリングで「母が」とか「父が」という話題が出てきます。文句を言いたげだけれどもそこがうまく言葉になりませんでした。しかし、会を重ねるごとに「母は高校に合格したときに喜んでくれなかった」「妹の結婚式のときには父は号泣していたのに私の結婚式のときはとてもそっけない態度だった」など不満が出てくるようになったのです。
そして両親から受けた影響で、いつもいい子で、いつもニコニコして、いつも気配りをしていないといけないという自分のルールがあることに気が付いたのです。
この気づきは彼女に決定的な変化をもたらしました。それまで、「NO」が言えなかった相手に対して「NO」を言うようになりました。
対して仲の良くない友達からの誘いを断り、長年お世話になったコーラスの先生から離れ、両親に対しても妹さんに対しても自分の想いを伝えられるようになったのです。そうなってくると気持ちが楽になりました。そしてカウンセリングは終わりました。
定期的なカウンセリングは確実な変化をもたらす
定期的なカウンセリングは間違いなく変化をもたらします。
それはカウンセリング自体に効果がある面もありますが、それ以上にカウンセリングのインターバルでの本人の気づきがあります。
自分と向き合うということを以前お話しました。結果としてカウンセリングはカウンセラーと話をすることで自分と向き合わされるのです。
自分と向き合うことを促されるカウンセリングを受ければ、自分が変わります。その変容はご自身が思う以上に、そしてカウンセラーも想定していないくらい大きな変容をもたらします。