アンガーマネジメントにおける
3つの誤った認識
アンガーマネジメントは誤解されている
「アンガーマネジメント」という言葉が独り歩きして、本当に大切なところが見落とされているということが多くいです。学んだ方の中には「効果がない」「無意味だ」という感想を持たれることもあるようです。これは伝える側の力量不足、というのもありますが、そもそもの認識が間違っているとせっかく学んでも期待外れとなり、かえって怒りが増してしまうなんてことも起こってきます。誤解を解く説明をしようと思います。
誤った認識その1:怒らなくなる
アンガーマネジメントを学ぶと怒らなくなると考えられていると、さすがにそれは無理です。怒りという感情はどうしても沸き起こってきますし、脳の構造上おそらく無理な話です。怒りを抑えること自体はできません。
アンガーマネジメントが伝えているのは怒った時にどう対処するか。怒りが収まらないときにどう折り合いをつけて平常心を保つか。そして、怒りにくくなるための考え方や心構えです。こういったことを学ぶことで、これまでと違った行動が生まれ、それが人間関係の改善にもつながっていくということになります。怒りはなくなりませんが、怒りに対するとらえ方は大きく変わっていくものと思われます。
誤った認識その2 学ぶとすぐに効果がある
アンガーマネジメントにはテクニック的な面もあるので、学んですぐに実践できるものもあります。学んですぐに効果を実感してもらえるに越したことはないのですが、アンガーマネジメントでは、考え方や物事のとらえ方に対するアプローチをします。そのため、行ったり来たりしながら身につくため時間はある程度かかります。実践するにしてもこれまでの自分と違った行動をとることになるので、「周りにどう思われるだろう」というブレーキがかかり、実践するのに躊躇する期間もあります。この期間は、成長がないようで退屈ですし、ここで辞めてしまうと学んだことが水の泡でもったいないところです。この学びと実践の間の期間に人の心は成長します。ここを抜けて実践していくと、自分で方法を編み出したり、対処の仕方をアレンジしてアンガーマネジメントが身につきます。躊躇する期間は人によってそれぞれですので、ある程度時間を要してしまいます。
誤った認識その3 怒りっぽい性格は変えられない
性格を変えるとなると確かにちょっと大ごとな感じがします。しかも自分が怒りっぽいのは生まれつきで、これまでもそうやって生きてきたから仕方ないんだ、という考え方があると、そもそも学ぼうという気にもなりません。しかし、実際は性格は変わります。これはアンガーマネジメントを学ぶとかではなく、人が生きる過程で、年齢を重ねる、様々な経験をする、そういったことを経ると、性格は変わっていきます。
アンガーマネジメントは考え方や物事のとらえ方にアプローチしていきます。その過程で、自分を客観的に見る機会がたくさんあります。そうするとこれまでの自分とは違った自分が見えてきます。この気づき(メタ認知)があると性格は自然と変わっていきます。確かに努力という側面が全くいらないというわけではありませんが、アンガーマネジメント自体は、その人にあったアンガーマネジメントがあります。それを自分で見いだしていく過程で、だんだんと自分が怒りから遠ざかるということが起きてきます。
そもそも自分が「怒りっぽい」という認識がある時点で、アンガーマネジメントをしようと、自然な心理的な働き(一種の防衛機制)があります。自分の性格が気に食わない、何とかしたいという方はぜひお問合せください!
ABOUT US
大久保智弘(ビジョナリーキャリアアカデミー代表)
1980年 長崎県長崎市生まれ、長崎市育ち
2007年3月 関西学院大学大学院社会学研究科修了 社会調査論を専攻
2007年4月 学校法人瀧川学園滝川第二中学高等学校に勤務
2013年4月 トータル・カウンセリング・スクールにセミナー講師として勤務、同年、山形県立置賜農業高等学校、小国高等学校のスクールカウンセラーを兼任
2018年10月 横浜市青葉区にビジョナリーキャリアアカデミーを開講