アンガーマネジメントを身につけるために越えるべき二つの壁

アンガーマネジメントの本を読んだり、動画を見たりして知識を得ることはできます。

その知識が活かされる場面もあります。少なくとも学んでいる最中はできそうな気がします。

しかし、そう簡単ではありません。

アンガーマネジメントを身につけるためには二つの壁があるのです。

一つ目は他人への怒りの原因を自分事としてとらえること。

怒りのきっかけは、他人からの言葉や態度であったり、理不尽なできごとであったりします。

その状況をどうとらえて、怒るかどうかを決めているのは自分自身です。

怒ってしかるべき状況というのは当然あります。

先日受けた相談では、かなりの業務量を任された人が、心身ともに衰弱して休職ということになりました。

そのことを会社に告げに行くと「復職したらあなたは今のポストには戻れないからね」と言われたそうです。

会社の都合で人が足りないから、任された仕事をこなしていたらこんなになったのに、休職したらポストを変えるという理不尽さ。

これから心身を休めるひとに「帰ってくるな」と言っているようなものです。

これ自体ハラスメントですし、休職による降格人事は労基法とも照らして説明できなければいけません。

彼女が会社に腹を立てるのは当然です。怒るのは仕方ないのです。ただ、その怒りの矛先をずっと会社に向け続けていても何にも生産しないのです。

休んでいる間、会社の文句をいくら愚痴ったところで会社は痛くもかゆくもありません。

怒りを感じたままに吐き出すことは一時的には効果がありますが、ずっと続けていてもむなしくなるだけです。

怒るのは悪くない。でもその怒りを自分で引き受けるということが一つ目の壁です。

二つ目の壁は、自分と向き合うことです。

自分の限界、自分の能力の至らなさ、自分の醜さ、狡さ、弱さ・・・そういったものと向き合い、それが自分だと受け入れる覚悟です。

これを自己受容と言いますが、この自己受容なしに人の行動は変容しません。

ただ、怒りに関しては相当にハードルが高い。

それは、自分は怒っていないと思ったり、この怒りがくるのは自分のせいではないと思いたいからです。

ただ、この二つの壁を越えた人というのは強いです。

試練困難に打ち勝つ、というよりもその状況を前向きにとらえ、自分の人生の糧にしようと知恵を絞るからです。

アンガーマネジメントの二つの壁の乗り越えは相当ハードですが、これさえできれば、怒りがずっと遠くに行ってしまいます。

怒らないわけではないですが、怒りにくくなる、結果として他人に優しくできるパーソナリティを身に着けることになるのです。

私が提供しているアンガーマネジメントはそこを目指しています。